約 5,047,853 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/765.html
熱き心魂──あるいは二日目その一 さて、“鳳凰カップ”という祭りもいよいよ折り返しを過ぎ二日目。 今日も昨日同様……いや、それ以上に私・槇野晶と“妹”のアルマは 出典ブースの準備に余念がない。何せクララ……もとい梓とロッテの “大番狂わせ”は、良かれ悪しかれ多少の注目を集めてしまう物だ。 MMSショップ“ALChemist”のホームページにも、問い合わせが幾つか 寄せられていた。恐らくブースへの来客数も微増するだろう、有無。 「というわけでだアルマや、今日は朝からかっ飛ばして良いぞ?」 「え、ええっ!いいんですか!?……レパートリー無くなりそう」 「一向に構わん。全力全開、魂の限りを込めて唱い上げるのだ!」 「……はいっ、精一杯……唱える限り、あたし……唱いますね?」 本当は誰かに手伝ってもらいたかったが、梓とロッテは決勝ブロックの 説明を受けねばならぬ故、武装一式を持って入場時に別れたっきりだ。 こういう時に手を貸してくれる係累はいないし、“オーナー”とて原則 店の経営自体には不干渉だ。今後も決して、表に出る事は無いだろう。 アルマは客引き……を兼ね“己”を表現する為、ブース内のステージで 唱うのが仕事だ。なので、今日も私一人で此処を切り盛りする訳だな。 『只今よりゲート開門いたします!皆様、二日目も頑張ってね~っ!』 「……にしても昨日もそうだが、妙にノリノリだなこのウグイス嬢め」 「なんというか、マイスターみたいな印象受けますよね……あ、いえ」 「ちょっと待てアルマ、私はあんな可愛げ満載の雰囲気ではないッ!」 「そんな事はないんじゃないかな、小さなレディ達?十分、可憐だよ」 思わず噴きそうになりつつも、慌ててアルマから手を離し正面を見る。 そこにいたのは既に幾人か並んでいる客達だった。その先頭にいたのは 以前クララの初戦を務めた“アラクネー”のオーナー、前田氏だった。 ……この様な歯の浮く台詞が言えるのは、彼だけだ。間違えはしない。 無論、アラクネー嬢も一緒だ。とは言っても、彼女はスーツ姿だがな? 「げふげふ……貴様ら、アラクネーにウチの服など入り用なのか?」 「服その物は某の趣味ではないが、ネクタイだけなら良さそうでな」 「えっと……そう言えば、そうですね。ネクタイなら、合うかも?」 「アルマ君、だっけ……君は、ライブの準備をしなくていいのかい」 「あっ!?す、すみません今すぐにしますからっ!あうう……ッ!」 前田氏に急かされて、アルマが楽屋の用途を為すコンテナに飛び込んだ。 その合間に私は、アラクネー嬢のスーツに合うネクタイを見繕ってやる。 そして彼らを捌ききり、次の者を応対する頃……それは唐突に始まった。 ハンディ・シーケンサーによるパーカッションの音色に続き、弾ける弦。 それは地中海の潮風を思わせる軽快なリズム、それでいて勇壮な音色だ。 『♪ビルの林-おか-に小さな躯晒して、水面に映した想い出-かげ- 汐の様に遠ざかる日々……それでもあたし、振り返らず進むの 暮らした昔大事にしたい!でもねもっと、今を輝かせたいッ! 星無き遙かな黒天-よぞら-に、茜-あさひ-の色を宿したいの! 現在-今-が果てに過ぎてもあたしの想い、決して消させないよ そうよ──────忘れないの、この傷-むね-の痛みはッ!!』 題名は“朱金-あかね-の夜明け”。ラブソングなのか戦いの挽歌なのか 良く分からぬのだが、作詞作曲等全ての作業をアルマが行ったらしい。 アルマに言わせると『あの人の声には、届かなくてもいいんですよ』。 つまりは自らの言葉で、声で……そして想いで、曲を作りたいらしい。 こういった行為は、まさに神姫の“創造性”の極北とも言えるだろう。 テンポの速い曲故か、あっという間に……4分足らずで独唱は終わる。 「う……うおおぉぉー!?唱ってる、神姫が唱ってるぞぉーッ!?」 「戯けッ!怪物でも見る様な声を出して、それ程驚く事か貴様ッ!」 「いやだって……この娘“アルマ”だっけ、ストラーフでしょ?!」 「有無。だが戦いだけが神姫の姿ではないのだぞ、この服の様にな」 喚く男性客……恐らくは高校生か?……を一喝しつつ、私は思い出す。 現在の様にMMSが神姫として……更には“武装神姫”として、規格の 統一が為される前の試作期に何タイプか存在した、“神姫”達の名を。 故あって、私は神姫の黎明期……試作段階の逸話を色々と知っている。 その頃は音感能力特化型等、実に様々な能力を持つ神姫が試作された。 中でもとあるタイプに属する一人の神姫は、“訃報”が報じられた程に 一過性ながらも人々の話題となった、言語処理系特化型の神姫である。 そうか、もう大分経つか……“武装神姫”以外を知らぬ者も多い筈だ。 『えっと……皆さんッ、今日も“鳳凰カップ”に来てくださって……』 『Woooooooooooooooooooooooooooo!!!!』 『……あ、ありがとうございますっ!このお祭りに花を添えたくて!』 そんな感慨も、アルマの声に惹かれて訪れた客達への応対と、それ以上に アルマの前に群がってきた“観衆”の熱い叫びに、早々と掻き消される。 ……にしても、何十人いるのだ?今日は“鳳凰カップ”の決勝戦である。 そちら目当ての方が必ず多い筈で、しかもこのブースは“祭典”で用いる 簡易型テーブル3~4台分の幅しかない。それなのに、この盛況振りだ。 『恥ずかしかったけど……今日は一日唱い続ける事にしましたッ!!』 「凄い人手ですね、決して大きくないブースなのに買い物客も聴衆も」 「む?貴様ら……戸田静香とココか。暇潰しに来た……いや、違うか」 「まさか。私も個人ブランドをやっているんです、気は抜けませんよ」 客の列に紛れてやってきた戸田静香と、会話をする。そう言えば彼女も “TODA-Design”という銘で、エルゴ等に神姫用衣装を提供していた。 不敵に笑う彼女らしい動機とも思えた……のだが、真実は違う様だな。 そして私達を後目に、アルマの挨拶で“観衆”は一気に燃え上がった! ……この場合“萌え上がった”でも間違っていない気がするな、有無。 「静香が“ライバル”の偵察をしたい、って建前で……もごもご!?」 「あくまでこれは偵察なの。そうでしょココ?ごめんなさい、晶さん」 「まあどちらでも私達は構わぬ。存分に見て、聴いてゆくが良いぞ!」 『拙いあたしの唄ですけど、少し疲れたら聴いていって下さいねッ!』 『アルマちゃーんッ!!いーじゃん、いーじゃんすげーじゃんッ!?』 『次は“妹”を題材にした……“天空-あおいそら-の鳥”ですッ!!』 『Woooooooooooooooooooooooooooo!!!!』 ──────不死鳥の様な心は、皆も生き返らせるんだよね。 メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1595.html
姫の閉ざされし檻、呪われし高貴(その二) 第三節:賢者 半ば日が中天に差し掛かる頃、私達はアキバへと帰ってきた。昼食さえも 摂る時間を惜しみ、駅の売店で買った栄養補助食品とスポーツ飲料を皆で 分け合いながら、神姫センターへと赴く。連休も明けて暫く経った平日の センターは、多少賑わっていた物の……混雑という程の人は居なかった。 「ふぅむ……緊急充電用のレンタルクレイドルは、どれも正常だな……」 「ん~……電源ケーブルが何処かへ引っ張り出された跡も、ないですの」 「となると、ロキちゃんは一体何処で充電しているんでしょうね……?」 「……ひょっとして、充電が不要な位のジェネレータを積んでるのかな」 一緒になってクレイドル周辺をまさぐる梓から、そんな推論が飛び出す。 しかし、強ち的外れとも言えない事情がある。それは、彼女の躯に備わる “装備”だ。可変式の高速電磁浮遊ウィングに、プラズマで固めた武装。 いずれも、莫大な電力がなければ満足に運用出来ない筈なのだ……だが。 「ロキは、平然と動き回っていた。有り得ない話ではないかもしれんな」 「あ、あのー……お客さん?そんな所でしゃがんで、お探し物ですか?」 「……あ、うん。スペーサーを落としたんだよ。でも、見つかったもん」 「気を付けて下さいね?センターではそういうの、賠償できませんから」 流石に不審だったのか、店員が私達に声を掛けてくる。ここでこれ以上の 捜索は無理かもしれぬな……。しかし何らかの形で補給をせねば、いくら 優秀なジェネレータでも限界はある。何処かで、ロキは補給をしている。 それは間違いないのだが、此処に今居ないとなると……何処にいるのだ? 私と梓はベンチに腰掛け、深く溜息をつく。痕跡さえ、見つけられない。 「うぅむ、参ったな。ここで補給しているとばかり思ったのだが……」 「他のセンターで、補給しているかもしれないんだよ。行ってみる?」 「でも、雰囲気悪かったり入った事無いセンターは捜索出来ませんの」 「そう、ですよね。ここでさえ、全てを把握している訳じゃないです」 馴染みの深いこのセンターで何も見つけられない、となると。私の往く 活動範囲には、最早探索できる場所は殆ど無いとも言えるだろう……。 途方に暮れるとはこの事か……?皆で、溜息をついた。その時だった! 「心配はいらないよ、小さなレディ達……奴は確かに、ここで補給した」 「何ッ!?き、貴様は……前田、そして“アラクネー”ではないかッ!」 「こんにちは。まさか、こんな形で再会するとは思わなかったけどね?」 私の眼前に、一人の男と一人の神姫が現れたのだ。“自衛官の”前田と、 “女郎蜘蛛の”アラクネー。何故神姫バトルをしているのかさえ不明な、 謎の多い連中……そして、クララの初戦を務め彼女を導いた“賢者”だ。 知らず知らずにクララ……いや、梓の躯が緊張する。未だ、彼女にとって 尊敬するべき“師”なのかもしれん。だが、彼らの雰囲気は剣呑だった。 「前田さん、アラクネーさん……お姉ちゃん達から、噂は聞いてるよ」 「ふむ、某とクララの仲を知っているのか……ならば、問題はないな」 「そうみたいだね。で、何かお探しなのかな?小さなお嬢さん達……」 「……惚けるな前田よ。貴様は今、確かに言ったろう。“奴”とッ!」 私は、自然と前田を睨む。喰えない男だとは思っていたが、今こうして 微笑みながら向かいのベンチに座る奴を見ていると、尚更分からぬな。 自衛官という立場上、何か知ってるのかもしれんが……どういう事だ? 「ああ、そう言えばそんな事を言ったね。僕もうっかりしていたよ」 「どう考えても、私達の探している者を知っているという態度だな」 「はは……出来れば、違っててほしいんだけどね。で、何だろうね」 梓に視線を移す。鷹揚に笑いかけ、世間話を始めようかというこの男に、 全てを話していいものか。私だけの判断では、どうにも雲を掴む様でな? 尤もロキの手懸かりその物が、既に雲を掴む様な状況になりつつあるが。 しかし暫し迷い、梓は肯いた。“クララ”として、彼らを信頼したのだ。 アルマとロッテも、二人の胸元で肯く。となれば、黙っている事もない。 「……探しているのは神姫だ。否、厳密には神姫と呼べぬかもしれん」 「北欧からやってきた、哀しい定めを背負った一体のMMSですの……」 「ひょっとしたらまだ秋葉原にいるかも知れないって、思ったんだよ」 「だから、その。探してたんですけど……そういう貴方達は、何を?」 前田は深く溜息をついてから、アラクネーを促した。この世の終わりでも 来たかの様なオーバーアクションを確認し、小さな神姫が重い口を開く。 それは私達にとって……そして彼女らにとっても、望まざる展開だった。 「某らが追い求めるは、“ハザード・プリンセス”の零号機に他ならぬ」 「“戦略級殲滅型MMS”って分類の、中規模破壊を行うテロ用兵器かな」 「神姫の皮を被った怪物、それこそが……“国家の敵”たる人形なのだ」 ──────世界はやっぱり、残酷なんだよ。 第四節:信念 自衛官の前田と、彼の神姫たるアラクネーから出た言葉。それは正しく、 最悪の運命が間近に迫っている事を告げる、“賢者の忠告”に他ならぬ。 「テロ用の兵器、人形……だと?貴様、知っているのか……ロキを!」 「知っているよ。僕らの任務は、アレを追いつめ無力化する事だから」 「どうしてですか!あの娘は、マスター達の為にやっただけなのに!」 アルマが梓の胸から乗り出し、泣き叫ぶ。助けようと思った存在が、既に 国家という巨大な“モンスター”から目を付けられているという現実に! それは既に、ロキが『“世界の敵”として認識されている』事にもなる。 「存在自体が、極めて危険なのだ。国家という“大を救う”べき者には」 「彼女の存在その物が、罪でしかないんだよ。そこに在るだけで、拙い」 「故に何としても、彼女を無力化せねばならない。破壊してでもな……」 『存在その物が罪』。この世に産まれ出る者にとって、理不尽の極みとも 言える断定であった。それが器物であろうと……神姫であっても、そこに “心”がある以上、これを理不尽と言わずに何というのか。だが同時に、 国家を……民衆を護らねばならぬ者からすれば、ロキは正に害悪である。 「それが、日本って言う国の考え……でいいのかな?前田さん……?」 「構わないよ。ついでに、日本と繋がる主要な国家の考えでもあるね」 「……驚いた。既に世界規模で指名手配されているのか、ロキは……」 「当然であろう、マスター……晶殿。彼女は、“ラグナロク”の残党」 「僕らもつい先日、逮捕したエージェントの自白で知ったんだけどね」 「捕まったんですか、運び屋さん!?……まさか、彼女を棄てたから」 前田は軽く溜息をついてから、肯いた。あの爆破はやはり“事件”として 警察とは別の治安組織が追っていたのだ。ロキを追う過程で、彼女を運び 秋葉原で棄てていった運び屋の存在が、露呈したのだろう。些か現実味に 欠ける話ではあるが、それでも認識せねばならない……事の重大さをな。 「僕らには、上の命令に従ってロキを無力化するという責務があるんだ」 「その為に……無闇に関わろうとする部外者は少ない方が良い、となる」 「だったら、なんですの?わたし達を傷つけて、国の為に封じますの?」 だが、それよりも早く……身を弁えるという理性的な選択より早く、私の 胸元から“感情”に満ちた声が響く。それこそ、黙って前田達の言い分を 聞いていたロッテの声だった。それは、怒りと哀しみに満ちた音である。 「ロッテ君、だったかな。君達を捕まえたり、傷つけるつもりはないよ」 「ただ……そなたらの介入でロキを逃がす事になっては困る、とな……」 「だったら、わたし達が自己責任でロキちゃんを止めればいいですの!」 啖呵を切るロッテに、前田が目を見開く。この反応は、予想外らしいな。 それは、全てを敵に回してでも助けたいという“信念”故の叫びだった。 アラクネーが睨め付ける様に、アルマと梓……更に私を見据える。それは 幾多の死地を潜ってきた主に引けを取らぬ、一種独特の凛とした気配だ。 「万一そなたらや主に危険が及んでも、何の救済も受けられぬのだぞ?」 「……保険を申請しても、事実は隠蔽されるから保証されないんですね」 「そう言う事、だね。秘密裏に全てを終わらせたい。それが上の考えさ」 「話を聞いてて気になったけど、“破壊”は義務じゃないのかな……?」 「執るべき手段の一つであって、確定事項ではない。無力化こそが重要」 しかし己を譲らないロッテに気圧されたのか、アルマと梓も食い下がる。 ここで自分だけ荷を擲つ事は、“姉妹”として考えも及ばぬのだろうな。 二人の事実確認を受けて、ロッテは続けた。それは、私の考えでもある! 「なら……ロキちゃんが破壊を止めて普通の神姫になれば大丈夫ですの」 「普通の、神姫に?……確かに、神姫の因子を持つ相手だが……無謀だ」 「無茶でも無謀でも、そうなれば国家として敵視する道理はあるまい!」 「ま、そうだけどね。僕としても命令は果たせる。でも、いいんだね?」 それは国家の代行者として『失敗した時は私達を見捨てる』という言外の 意味を含んだ、最終確認だった。本当に、私達は後に退けぬ事へ関わって しまったのだ……しかし、それを悔いるのは全てが終わってからでいい! 「いいですの!わたしは……ロキちゃんを必ず救うと決めましたの!」 「はぁ……参ったね。ここで退いてくれた方が、堅実だったんだけど」 「主よ、最早言っても聞いてはくれますまい。やらせてみては如何か」 がっかりした、という様なアクションをしつつ前田は肯き、立ち上がる。 最早、大っぴらに助けを借りる事は出来ない。私達の力で、なんとしても ロキを“日常”へ引き戻してやらねばならぬ。僅かの失敗も、赦されん! 「小さなレディ達、出来れば……僕らに手間を掛けさせないでくれよ?」 「無論そうする。何処の所属かは聞かぬが、本拠で報せを待っていろ!」 「そなたらは不器用すぎる。だが、そういう生き方も嫌いではない……」 「……恐れ入るんだよ、アラクネーさん。でも、必ず成し遂げるからね」 「あたし達には、それしか出来ませんから……きっと、助けてみせます」 「“武装神姫”の意地にかけて、絶対にやってみせますの……絶対ッ!」 ──────想いの力は余りに強く、皆を震わせるんだよ。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1621.html
ただその翼は、姫を解き放つ為に(その一) ──思う所は有りました。今でも、無いなんて言ったら嘘です。それでも あの娘に笑顔を灯したい。哀しい呪いから、彼女を解き放ってあげたい。 そんな、あたしの“大切な人”の願い……叶えたいのが、あたしの──。 第一節:奇策 燃える様な太陽が、落ちました。冷たい夜に、あたし・アルマと“妹”の ロッテちゃんとクララちゃんは、戦闘態勢を整えます。マイスターの手を 気遣って、あたし達が自分で出来るチェックや調整は個人で行いました。 「足のモーターは大丈夫ですか、ファフナー?モリアンの駆動率は……」 『グルォッ!!』 『No problem(全身のチェックを完了しました)』 もちろんこんな夜分遅くに、マイスターやあたし達が神姫センターへと 出かける事はありません。ここはMMSショップ“ALChemist”……そう、 あたし達の“家”でした。勝手知ったるこの場所が、輪舞の会場です。 『Yes,sir(弾薬の貯蔵は十分です)』 「御苦労様ですの、フィオナ♪ウィブリオの飛行システムも順調っ!」 『キュイン♪』 踊る相手は、ロキちゃん。残酷で横暴な運命に翻弄されている姫様です。 彼女を救いたいのは、マイスターの願い。そして……それを叶えたいのが あたしの“欲望”なんです……その筈、なんです。だから今は、ひたすら 準備に励みます。ヴァーチャルフィールドでの仮想戦闘でも、実空間での ダメージやコンディションは、きっちりと反映されてしまいますからね? 『クルゥ……』 『Ja(問題はありません)』 「そう、問題はないんだよ。リンドルム、アルサス……宜しくね?」 万全な状態じゃなかったり色々なインチキをするのは、彼女にとっても あたし達にとっても望まない事です。だから、何度でも繰り返し状態を 確認していきます。最善の状態で、彼女の相手をしたいですから……。 「よし、地上と通路に紙に張り出してきた。気付けば、必ず来る筈だ!」 「あ、マイスターお帰りなさいですの♪外は結構風強いですけど……?」 「有無。きっちり張り付けてきたから、一晩位は恐らく飛ばぬだろうな」 「でも……マイスターが起きていられる間に来なかったらどうします?」 「難しいけど、その時は一度剥がして寝るしかないと思うんだよ?うん」 両手に包帯を巻いたままのマイスターが、店の入口から戻ってきました。 こんなに傷ついても、何度だって苦しんでも……この人はロキちゃんを、 哀しき神の姫を助けたい。その決意が固い事は、何度も確認しましたね。 もうこうなったら、あたし達はその願いを叶えてあげるしかないんです。 「出来れば、早い内にロキちゃんが気付いてくれると良いんですけど」 「そうですの。ロキちゃんは何時狙われてもおかしくない立場ですの」 「……首を突っ込んじゃった以上は、絶対に救わないといけないもん」 「嗚呼。皆、苦労を掛けるな……だが、意地でも助けてみせようッ!」 だって、この人に微笑んでほしい。それがあたしの“願い”ですから…… ただ望むだけ・望まれるだけじゃダメなんです。享受しているだけでは、 本当の願望はきっと満たされないって、思うんです。だから、この戦いが 終わってもしも無事だったら……あたしはこの人に、今度こそ言います。 「……今から、なんて言うか考えておかないといけないですね……うん」 「む?どうしたアルマ、緊張している……のも無理はないか。案ずるな」 「ふぇ!?ち、違いますそうじゃなくて!……な、なんでもないですっ」 そう。あたしの思いを、あたしの言葉を。あたしの……“心”を。自分の 声で伝えたいんです。そうしなければ、きっとあたしは一生後悔します。 そもそも人間もそうですが……神姫が生まれ変われるとは、限りません。 だから、全てを告げておきたいんです。でないと、あたしは後悔します。 「ふむ……悩みを聞いてやりたい所だが、終わってからでいいか?」 「はい。今は、目の前に居る姫を助け出す。それだけですね……!」 「……エレベーターの動く音がするもん。多分、彼女が来たんだよ」 「じゃあ、皆。ここからは気を引き締めていきますのッ!おーっ♪」 『おーっ!!』 出来れば、こんな事になる前に言っておけば良かったです……でも、もう 遅いですよね。今、目の前にある運命……まずは乗り越えていかないと! あたしは、自分の弱さと“心”をCSCの中に押し込めました。そして、 ずっと待ちます。一分……二分、そして三分経って。彼女は、来ました。 「……ここ、貴女達のアジトだったのね?これ、どういうつもり?!」 ──────あたしなんかより、苦しんでる筈……ですよね? 第二節:困惑 見るからに殺気と怒気を孕んだロキちゃんが、わざと開けておいたお店の ドアを潜って現れました。ぱっと見たところ、手足に埋め込んである物を 除いて、幾つかの装甲・武装等が外されています。防水・防塵用の被膜が 剥き出しになっているその姿は、何処か痛々しい“軽装姿”でした……。 「どうもこうも、逃げるそなたを呼び寄せる為にはこれしかなかろう?」 「だからって……だからって“ラグナロクの紋章”を使う事はないわよ」 「……傷つけたなら謝る。ロキ、これを以前……落としていったろう?」 そのロキちゃんは、マイスターがレジに置いた飾りを見て困惑しました。 紛れもなくそれは……彼女の“闇樹章”だったからです。手に持っていた 同じ符丁の紙──のコピーの、更に破いた欠片──を投げ捨てて、それを 手に取ります。あれはきっと、マイスターが地上に張っていた紙ですね。 「これ、そんな……何処で拾ったのよ!無くしたと思ってたのに……」 「数日前に拾った。それを一目見て、私はお前の存在を感じたのだぞ」 「……それを信じたとして、一体なんでこんな所に誘き寄せたのよ!」 ロキちゃんは、肩を振るわせて激昂します。やっぱり、人間を信じてない 彼女が、目の前の状況とマイスターの意図を把握するのは大変な様です。 そこで咄嗟に口を開いたのは、やっぱり“三女”のロッテちゃんでした。 「ロキちゃん……貴女とわたし達三人で、“決闘”をしたいですの!」 「……け、決闘?何行ってるのよ、そんなコトしないで襲えばッ?!」 「それは何時でも出来る、けどボクらはそれを望まないんだよ……?」 「どうしてよ!貴女達のマスターを、傷つけたのよ!憎いでしょ!?」 「何も思わないって言えば嘘です。でも、貴女を壊したくないんです」 彼女に続いて、クララちゃんとあたしが言葉を投げかけます。それは、 人間のマイスターよりも彼女に近い、あたし達の方が“想い”を上手に 伝えられるから、という判断です。責任は、とっても重大ですね……。 「壊したくない、って何よそれ!?何が狙いなのよ、わかんないわッ!」 「……あたし達の狙いは、ロキちゃんに根を下ろしてもらう事なんです」 「ロキちゃんにはボクらの“妹”として、ここで平穏に過ごしてほしい」 「その条件を呑む事を、決闘のチップとして差し出してもらいますの♪」 ロキちゃんは暫く呆然としていました。と言っても、彼女は相変わらずの フルフェイスヘルメット姿。その表情は、あたし達のカメラアイでもよく 見えません。数秒して、やっと意味を理解した彼女が抗弁してきました。 それに応えるのは、あたし達のマイスターです……全ては“信念”の為。 「な、何よそれ!?何故、人殺しのガラクタなアタシを!何故なの!?」 「……有無。まず、私は全ての神姫を信じる。その可能性と“心”をな」 「神姫を、信じる?それがどうしたって言うのよ、アタシには無関係!」 「いいや、お前にも神姫の魂が宿っている!故にこそ、お前を信じたい」 「え……あ、アタシを?アタシは神姫じゃないわ!人殺しの道具よ!?」 自分は愛される様な“神姫”とは違う……要らないガラクタでしかない! ロキちゃんは何度もそうやって叫びますが、マイスターは叛意しません。 「お前は、神姫のプロトタイプを元に作られた。それは知っているな?」 「知ってるから、違うって言うのよ……アタシは、その娘らとは違うわ」 「違う物か!私達はな、ロキ。お前を、共に生きていける存在と信じる」 「違うッ!それに決闘って言うからには、貴女達だって相応のね……!」 「分かっていますの。負けたら、命だって捧げる覚悟はしていますの♪」 ロッテちゃんのウインクで、ロキちゃんはまたも呆気にとられました。 何故、そこまで明るく悲壮な事を言えるか。自分の不幸に囚われている 彼女には、まだそこまで考えるだけの余裕は、無いでしょう……でも! 「勿論、ロッテちゃん一人とは言いません。あたしの命も賭けます」 「ボクの生死も委ねるよ。もちろん……この人も、考えは同じだよ」 「相応の決意を以て、お前を抱き留めたいのだ。どうする、ロキ?」 ロキちゃんを、陽の光へと導きたい。心細いなら、一緒に生きていたい。 その信念は、マイスターもロッテちゃんも……全く揺らぎません。勿論、 付いていくと決めたあたしとクララちゃんの想いだって、同じなんです。 “アシモフ・プロテクト”を越えた想いが、この決意を産み出しました。 「……アンタらだけ完全武装で、アタシは中途半端で戦えって言うの!」 「無論、完全武装してきて構わないぞ……というか、何故軽装なのだ?」 「そ、それは……次の爆破ポイントへと、忍び込もうって思ってたのよ」 ふいっ……と顔を逸らして、ロキちゃんは店を飛び出していきました。 是非を言わないままの後退でしたが、あたし達には分かります。彼女は 絶対に戻ってくると。きっと、あたし達の想いは通じてくれるって…… そう信じて、あたし達は待ちます。五分、十分……十五分と。そして! 「……来たわよ。逃げてなかったのね、まだ。アタシが怖い筈なのに」 「怖い物か。大切な“妹”達の“妹”を怖がって、“姉”は務まらぬ」 ──────貴女の穢れ無き想いが、あたし達を強くするんですよ。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1881.html
第七回「うほっ…いいMMS」 時報「こんにちは、時報です」 日暮「日暮です」 日暮「今回の質問は「どうして時報さんは第一回で雛見沢症候群を発症したのですか?」、ですか」 時報「それ、感想コーナーの質問ハガキだよ。正しくはこっち(ハガキを渡す)」 日暮「失礼。…「男性型のMMSは存在しますか? 存在するならば詳しく教えてください」、だそうです」 時報「えっと…たしか291ページだったかなぁ…」 あまり知られていないが、男性型のMMSも当然存在している。 MMS黎明期のころはあまり内蔵機器を小型化できなかったゆえ、どうしても体格のいい男性型しか製造できなかった。 しかし技術の進歩に伴いスマートな体形を実用化し、武装神姫が登場した事により男性型MMSは衰えを見せることとなる。 国内において武装神姫の代表的メーカーは男性型を製造しておらず、現在男性型は小規模メーカーか輸入品でしか入手出来なくなっている。 ただ、国外メーカーのMMSは国内法に対応していないバトルに製造されていないものも多く、購入の際は注意が必要である(MMSショップに置いてあるものは、規制をクリアしている) 当然武装神姫専用のバトルサービスであるバトルロンドには使用できず、リアルバトルに使用する際は係員へ申し出る必要がある。 出力は女性型である神姫より高く、より多くの武装を搭載できるがその分出力の振り分けに苦労する事が多い。 また人格を一から作る場合、攻撃性などの調整が難しい為あまりお勧めしない。 余談であるが、世界で最も男性型のオーナーが多いのはアメリカである。 体型もアメリカらしくアメコミ調のガチムチとなっている。 日暮「ガチムチ…?」 時報「某スパンキングかますゲイビデオですか」 日暮「そう言えば、時報さんの妹さんは男性型を複数持っていますよね」 時報「ガチムチと美少年型に囲まれてチュッチュッウフフしてる人だから、見習わないでくださいよ」 時報「さて、感想コーナーの質問だけど。…実はあれ、演技なんだ」 日暮「さすがに、実在しない病気で死ぬのは無理があったんですね」 時報「癒し系で死んでも、さすがにあれはちょっと…」 日暮「いっかい、ホントに発症してみます?(注射器を取り出しつつ)」 時報「時報は嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 日暮「それではまた次回お会いしましょう」 神姫無頼質問コーナーに戻る 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/shinki_ss/pages/64.html
※このページは、各投稿者様の神姫紹介【五十音・ア行】ページです。 五十音順で配置。読み仮名違いなど、ソートにご意見あれば まとめwiki管理人のメールアカウントに直接投げてください。 素体略称は、以下の略号で表記します。 ヘッドと素体が異なる場合(例「頭・犬/素体・兎」)は「ヘッドの素体名を記入」して 紹介本文にて素体構成を書いていただくようお願いします。 【略号一覧】 天使:アーンヴァル 悪魔:ストラーフ 忍:フブキ 猫:マオチャオ 犬:ハウリン 兎:ヴァッフェバニー 騎士:サイフォス 侍:紅緒 津軽:ツガル 花:ジルダリア 種:ジュビジー 砲:フォートブラッグ 鳥:エウクランテ 魚:イーアネイラ 海豚:ヴァッフェドルフィン 黒天:アーンヴァルbk 白悪:ストラーフwh 寅:ティグリース 丑:ウィトゥルース 建機:グラップラップ 水猫:マオチャオ(リペ) 水犬:ハウリン(リペ) HST:アーク HMT:イーダ 蝶:シュメッターリング 戦車:ムルメルティア 戦闘機:飛鳥 火器:ゼルノグラード 黒鳥:エウクランテbk 黒魚:イーアネイラbk 白HST:アーク 白HMT:イーダ カブト:ランサメント クワガタ:エスパディア サソリ:グラフィオス コウモリ:ウェスペリオー 天コマ:ウェルクストラ 夢魔:ヴァローナ ナース:ブライトフェザー シスター:ハーモニーグレイス フェレット:パーティオ リス:ポモック 【投稿フォーマット(追記用)】 ●神姫名(アンカーを挿入)/素体型:(ヘッドの略号)/投稿者:(「武装紳士録」投稿者アンカーへリンク) オーナー:(設定上のオーナー名です) / 所属:(組織所属であれば記入をお願いします) 投稿者紹介: オーナー様のコメントです。 コメント: 投稿者様以外の方で、この神姫嬢に対するコメントをお願いします。 コメントの最後に、お名前を付記してください。【CainEdge】 【ア行】 葵(侍) 白羽 アキナ(種) 雪冠(ゆきかんむり) アクエル(魚) 雪冠(ゆきかんむり) アサギ(忍) Yukari アニエス(猫) strangedays アネット(兎) K-Kurasawa アマテル(忍) ・シン=アカツキ アルティ(天使) あると アルメリア(猫) 蓮吻(レンウェイ) アルメルス(騎士) 風雷坊 アレキサンドライト(砲) 蓮吻(レンウェイ) イェーガー(種) セイロン イザベル(悪魔) みずねこ(ねこ隊長) 因幡(兎) 白羽 イリーアン・マザー(悪魔) ツインガンナー ヴァル(種) Ex-Mavis ウイ(悪魔) Yukari ヴィオラ(騎士) ゆーげん ヴィルケ(白悪) セイロン うぃん(天使) strangedays エクサ(丑) 比呂雪 エミリー(天使) Ex-Mavis エリシア(天使) ゆーげん エリス(天使) K-Kurasawa エリュス(騎士) 雪冠(ゆきかんむり) オメガ(黒天) あると ●葵 / 素体型:侍 / 投稿者:白羽 オーナー:白羽 / 所属:中央神姫協会 投稿者紹介: マオのパートナー。 一度起動設定時に逃げ出した。マオに振り回される苦労人ww 細胞間切断用スキャニングシステム『明鏡止水』搭載 コメント: ===== ●アキナ / 素体型:種 / 投稿者:雪冠 オーナー:雪冠/所属:神姫TV所属雪冠プロダクション 投稿者紹介: 第3回のSSコンテストで佳作をもらったメインのモデル。 口はやや悪い。巫女さんには未だなれず。 コメント: ===== ●アクエル / 素体型:魚 / 投稿者:雪冠 オーナー:雪冠/所属:神姫TV所属雪冠プロダクション 投稿者紹介: 頭を使う分野が結構苦手らしい。 ただ運動は意外とできるとかなんとか…。 古参を差し置いて真っ先に巫女さんにしてもらった。 コメント: =====●アサギ / 素体型:忍 / 投稿者:Yukari オーナー:Yukari / 所属: 投稿者紹介: Yukari家の次女。 気配り上手で聞き上手な為、一家のカウンセラーとなりつつある。 Yukari家のフォローやツッコミ役を担当する良識派。 コメント: ●アニエス / 素体型:猫 / 投稿者:strangedays オーナー:strangedays / 所属:ストレインジ・エレクトロニクス社所属 投稿者紹介: 愛称アニー、長女。猫型には珍しい(?)冷静沈着な性格。 妹達をまとめ、見守るよいお姉さん。だが、可愛いもの好きという一面も。 コメント: ===== ●アネット / 素体型:兎 / 投稿者:K-Kurasawa オーナー:K-Kurasawa / 所属:クラサワ研究所 投稿者紹介: メンバーの知恵袋。いつも冷静で皆を影から見守っている。出番はまだ無い コメント: ===== ●アマテル / 素体型:忍 / 投稿者:シン=アカツキ オーナー:シン=アカツキ / 所属: 投稿者紹介: つねに強くなることを第一に考えており、暇さえあればトレーニングを積んでいる というほどのレーニングマニア。あと強い者がいると分かると1vs1の戦いを挑む。 コメント: ===== ●アルティ / 素体型:天使 / 投稿者:あると オーナー:あると / 所属:チーム・ウィンド 投稿者紹介: まじめで礼儀正しい。 遠距離支援型装備をしていながら近接が得意という矛盾を抱えている。 コメント: ===== ●アルメリア / 素体型:猫 / 投稿者:蓮吻 オーナー:? / 所属: 投稿者紹介: 神隠し事件の被害者。 真の強さを求めるものを探しており、その人物と剣を交えようとしている。 猫型にしては珍しく物静かな雰囲気で人を観察する事が趣味 コメント: ===== ●アルメルス / 素体型:騎士 / 投稿者:風雷坊 オーナー:風雷坊 所属:防衛庁直属機動神姫課第10課(通称ファントムクロス)・陸戦部隊グランドフォース 投稿者紹介: グランドフォースの隊長。騎士道を貫くごく普通の騎士型。でも好戦的。 性格・口調共に『魔○少女リ○カルな○はStrikirS』のシ○ナムとほとんど一緒。 コメント: ===== ●アレキサンドライト / 素体型:砲 / 投稿者:蓮吻 オーナー:蓮吻 / 所属: 投稿者紹介: 略称アレク。蓮吻が浪漫と言う理由で待ちに待って買った神姫。 二門の滑空砲を巧みに扱い遠中近、どのレンジでも銃撃戦を行う。 ユキには初対面でかなり手ひどくやられ苦手対象となっている模様。 コメント: ===== ●イェーガー / 素体型:種 / 投稿者:セイロン オーナー:セイロン / 所属: 投稿者紹介: シャーリーに暇があれば百合の相手をさせられている。 本人は嫌がるそぶりをしているが、最近やみつきになりつつある自分に 戸惑っている。シャーリーと同様、通信、ハッキングが得意分野。 コメント: ===== ●イザベル / 素体型:悪魔 / 投稿者:みずねこ(ねこ隊長) オーナー:ミルカ(?) / 所属: 投稿者紹介: 神出鬼没のセクハラ神姫。 セクハラするたびにミルカさんにどつかれるのが特徴(?) コメント: その神出鬼没とエロス全壊ぶりはSS掲示板でもトップクラス。【CainEdge】 =====●因幡 / 素体型:兎 / 投稿者:白羽 オーナー:白羽 / 所属:中央神姫協会 投稿者紹介: 白羽のSSにほとんど姿を現さない可哀想な子ww 彼女は白羽の仕事の助手をする事が多く、白羽家の情報分析担当。 高感度振動分析システム『ナキウサギ』搭載 コメント: ===== ●イリーアン・マザー / 素体型:悪魔 / 投稿者:ツインガンナー オーナー:無し / 所属:「イリーアン」(Illegal alien=不法入国者の略) 投稿者紹介: 平行世界からやって来た破壊者の長。 イリーアン達から『母君』呼ばれているため便宜上『マザー』と名付けられた。 当初、正体も目的も分からなかったがリーフィの情報によって『マザー』もまた 平行世界のストラーフであり、目的が世界の破壊であることが分かっている。 現在どこかの洞窟に潜伏中。 情報収集用のケーブルを無数に張り巡らせ「I.M.B」の情報を収集しているため 各基地などの重要施設の場所が分かっているはずなのだが何故か基地を襲撃 するそぶりを見せないなど行動に謎が残っている。 コメント: ===== ●ヴァル / 素体型:種 / 投稿者:Ex-Mavis オーナー:(軍属のため無し) / 所属:防空軍第601試験航空隊所属 投稿者紹介: 軍曹。18歳相当。 名前の由来は旧日本海軍九九式艦上爆撃機の米軍コードネーム。 新米隊員。現在のところ航空祭OPで登場した程度。 コメント: =====●ウイ / 素体型:悪魔 / 投稿者:Yukari オーナー:Yukari / 所属: 投稿者紹介: Yukari家の長女。 料理・お菓子作りが得意。 Yukariの夢に入り込む事ができる。 やきもち焼きで尽くすタイプだが少々過激な所もあり、度々Yukariを困惑させることも。 ●ヴィオラ / 素体型:騎士 / 投稿者:ゆーげん オーナー:ゆーげん / 所属:ゆーげんズ・ガレージ 投稿者紹介: 二女。誠実と正義を重んじる額面通りの騎士。 最近、言葉の端々にフランス語が混じるようになった。 特殊斬撃武装“ノートゥング”の使い手。 コメント: ===== ●ヴィルケ / 素体型:白悪 / 投稿者:セイロン オーナー:セイロン / 所属: 投稿者紹介: ある事件をへてやってきた神姫、 元々はエイリアンだったが人間によって神姫に分割された。ハルトマンを姉と 慕っている。慕い方が極端で、ハルを激しく愛している、暇があれば、いけない 妄想やあぶない行為をしている、ハルを自分だけの物にしようと日々画策中。 コメント: ===== ●うぃん / 素体型:天使 / 投稿者:strangedays オーナー:strangedays / 所属:ストレインジ・エレクトロニクス社所属 投稿者紹介: 四女。この世の不幸を全て背負ったような存在。どういうわけか間と運が悪く、 いつも不遇な目に遭っている。基本的にはおとなしいのだが、時々暴走する。 コメント: ===== ●エクサ / 丑 / 投稿者:比呂雪 オーナー:比呂雪 / 所属:なし 投稿者紹介: おっとり系で常にマイペース。 ストーリーではないけど「戦え!スーパーロイド エクサちん」では「大須かのん」を演じてもらっている コメント: ===== ●エミリー / 素体型:天使 / 投稿者:Ex-Mavis オーナー:(軍属のため無し) / 所属:防空軍第601試験飛行隊所属 投稿者紹介: 少尉。22歳相当。 名前の由来は旧日本海軍二式飛行艇の米軍コードネーム。 何事にも一生懸命な可愛い神姫だが、基本的に天然。 大ボケをかましては周囲を凍てつかせたり、消沈させたり・・・ コメント: ===== ●エリシア / 素体型:天 / 投稿者:ゆーげん オーナー:ゆーげん / 所属:ゆーげんズ・ガレージ 投稿者紹介: 九女。見た目も素振りもおしとやかだが、時々何かを企んでいるかのような 言動を示す時もある。救急班担当。 コメント: ===== ●エリス / 素体型:天 / 投稿者:K-Kurasawa オーナー:K-Kurasawa / 所属:クラサワ研究所 投稿者紹介: いつも前向き。皆のことをよく考えているやさしい子。 それ故戦闘は得意ではない。投稿初期以降出番無し… コメント: ===== ●エリュス / 素体型:騎士 / 投稿者:雪冠 オーナー:雪冠 / 所属:神姫TV所属雪冠プロダクション 投稿者紹介: 皆のまとめ役になりたいが、荷が重くて落ち込む癖がある。 巫女さんでは折鶴を披露した。 コメント: ===== ●オメガ/ 素体型:黒天 / 投稿者:あると オーナー:オキタ / 所属:ナノテクノロジー、シティーガーディアン 投稿者紹介: ナノテクノロジー所属の神姫にしてシティガーディアンのリーダー。 オーナーのポリシーを尊重し高出力の射撃装備のみで戦う。 リセット前のかなでの妹にあたる。 コメント: コメント: ===== =====
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/820.html
折り返し──あるいは二日目その二 “鳳凰カップ”は二日目の中天を過ぎ、流石に客足は決勝ブロックの ギャラリーへと流れつつあった。私・槇野晶は必死で客を捌き続け、 神姫たる“妹”のアルマも、数時間に及ぶゲリラライブをこなした。 あれ程の大群衆を引きつけてくれたのは、彼女の功績に他ならんな。 故に、遅めの昼食を摂る事とした。アルマも空腹だろうしな、有無。 「アルマ、よく頑張った。あれ程歌い続けて、ヘトヘトだろう?」 「あ、はい……ちょっとだけバッテリー残量が心許ないですけど」 「ならば昼食をたっぷりと食べて、午後のライブまで休むと良い」 「えっと……すみませんマイスター、本当はお手伝いの時なのに」 構わぬ、と言って私は彼女の躯を軽くチェックし、着衣の乱れを正す。 しっとり風のラブソングから熱血の極みと言えるファンファーレまで、 アルマは実に、アルバム1枚超に及ぶ長丁場を一人で切り抜けたのだ。 その間急造のステージから降りる事も叶わず、彼女は一人歌い続けた。 激しい動きをせずとも、その服が乱れてしまうのは仕方ない事なのだ。 「ところでマイスター、梓ちゃんとロッテちゃんはどうしたんです?」 「有無。先程渡瀬美琴がやってきおってな……勝ちを拾ったそうだぞ」 「本当ですか!?ファーストやセカンドが、ひしめいているのに……」 「……これで公式に反映されるポイントも、相当数になる……だがな」 冴えない私の表情から、何かを感じ取るアルマ。そう、語られぬ所では クララとアルマも、ちゃんと公式バトルでの勝利と敗北を重ねている。 だが、ロッテとのランク格差は……今回の一件で大きく開く事だろう! 流石に何もせずしてセカンドへ昇格、等という事態はないだろうがな。 だがそれでも、この様に突出する事が果たして“三人”の幸せなのか? 「多分、この次も勝ったら……あの娘らは、即刻棄権するだろうな」 「……そうじゃないか、と思います。戦うなら最後まで、ですけど」 「だが望まぬ戦いをも率先して受ける様な、戦闘狂ではあるまい?」 「はい……ただあくまでロッテちゃんは、限界を見切るつもりです」 「有無。それを知りたくて、頂点を目指しに行ったのだろうからな」 言葉では明言されない物の、今ならばロッテと梓……ついでにアルマが、 奇策を弄してまでトーナメントの参加を押し通した理由が、良く分かる。 “己の戦いに誇りを”。これはロッテが戦いの際に、時々告げる誓いだ。 だが言葉だけの“誇り”等、いかがわしいネオンサインより陳腐である。 実行しなければ、出来ない事ならば。野心も勇気も願望も、力を持たぬ。 「ならばこそ己が何処まで出来るのか、更に何処へ伸びて行けるのか」 「それらの見極めの為に、今回の“聖杯”は打って付けだったんです」 「……アルマや。別にお前達が後ろめたさを覚える事は、何もないぞ」 「マイスター……はい、有り難うございます。そして、ごめんなさい」 「その意志を大事にしたい故に、私も“魔剣”等を求めたりしたのだ」 何も頂点に立つ事だけが大事なのではない。その過程に何を見出すか、 それが出来てこそ“求道者”や“戦士”としての成長が、あるのだな。 だからこそ、“姉”であり後援者たる私は……過程も結果も尊重する。 『結果が全てだ』等とは今世紀初頭から言われているが、愚かな事だ。 過程がなければ結果はまず成せず、結果が見えなければ過程も為らぬ。 「まあ何を言おうとも、私は彼女らを褒め称え労うつもりでいるぞ」 「あ……は、はいっ!本当に有り難うございます、マイスター!!」 「有無。所で何故、前日に『神姫素体で赴く』と言い出したのだ?」 ここで話を変える。このゲリラライブは、文字通り“ゲリラ戦法”だ。 大会本部への申請は、殆ど事後承諾となっていた。私自身、アルマめが 前日に準備を始めるまで、本気でライブを行うとは思わなかったのだ。 その時は強い意志に根負けして挙行を認めたのだが、やはり気になる。 だがその疑問に対する答えは、やはり驚く程シンプル且つ強固だった。 「あたしだって神姫です。神姫でしか出来ない事で、挑戦したかった」 「……故にこそ敢えてHVIFでなく、その躯で挑んだというのか?」 「はい。“肉の躯”よりも、“殻の躯”で伝えたかった想いですから」 HVIFは、人と神姫の垣根を取り払う。だが同時に、神姫達にとっては 不便な要素も存在していた。“心”に纏わる事柄についても、同じ様だ。 だからこそ“歌い手としての”アルマの感性は今回、神姫素体を選んだ。 神姫の“心”が人と同様だからこそ、僅かな差を敏感に感じるのだろう。 そう言う意味では、『同様であっても模造ではない』とも言えるのだが。 「そうか。想いを皆に伝えたいが故に、より良き策を取ったのだな?」 「はい……巧く言葉では表現出来ないんですけど、こうなんとなくっ」 「それで構わぬ。人の心も神姫の心も、理論では説明しきれぬしな!」 私はそう言って、アルマを肩に乗せてブースを離れた。二人とは今日、 一緒に昼食を摂る事は叶わぬが、最早全ての懸案は払拭されたも同然。 後はロッテ達が悔いの無い様に戦えば、それで十分だ。上機嫌である。 喫茶店“LEN”専用ブースたる大型トレーラーに、向かう事とした。 それは混雑する往来を小柄な躯ですり抜けていく、そんな最中だった。 「む……あの娘は、先日店へとやってきた……いや、人違いか……?」 「ん?……えっと、どうしたんですかマイスター。振り返っちゃって」 「いやな、この間店にやってきた女性に似ている者が居たのだが……」 L字定規を投げつけて、分かっていない不埒な輩を追い出したあの日だ。 うっかり往来にて投げたまま忘れていたL字定規を届けてくれた、ミラ。 “本物のガンスミス”の業物を持ち歩いていた、武装神姫達のオーナー。 「……彼女も彼女で忙しいのかもしれぬな。構わぬ、行くぞアルマ?」 見間違える筈はないのだが、彼女の姿を認めたのは会期中初めてである。 だが、あれ程“訳あり”の雰囲気を醸し出しておいて……偶然ではない。 ならば今の私が彼女を深追いする事は、お互いにとって“損”であろう。 不思議そうに首を傾げるアルマを宥めつつ、私は“LEN”に向かった。 「いらっしゃい……あら、晶ちゃんと大食いのアルマちゃんね」 「だッ、だから大食いって言わないで下さい!京都さん~!?」 「ふむ……そうか、千空めも決勝トーナメント出場組だったな」 「なんだ、彼奴がいないと寂しいか?そんな時はコーヒーだ!」 ──────寂しいのかどうかは、私だって分からないよ。 メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1878.html
第四回「神姫の中身、換えられる?」 時報「どうも、時報です」 日暮「日暮です、すっかりなじみましたね」 時報「今回の質問は"神姫の素体は交換可能か?"、ですか」 日暮「結論からいえば可能です」 MMSは全身が一種のブロック構造となっており、交換・換装が容易となっている。 心臓部たるCSC収納ユニットおよび、頭部コアユニットも取り外しが可能となっている。 ただし特別製のビスで固定してあり、専用の工具でないと取り外しは不可能。 起動中、中枢部が危険に曝された場合。もしくは素体自体が使用不能になった場合にのみ換装を行う。 通常、専用工具はMMS整備免許所持者にしか販売されていないが、近年は裏ルートで工具(違法品、もしくは模造品)を購入することは可能(当然、リスクの方が高い) 日暮「無頼16に出てきたケースだと、本来は素体を交換しなければいけませんねぇ」 時報「あの件については、メイちゃんが「素体交換は不要」と判断したのが大きいね。あと、素体の費用等はオーナー持ちだから経済的な制約も付くし」 日暮「今回はここまで。次回で会いましょう」 時報「(死にオチじゃないのか…)」 神姫無頼質問コーナーに戻る 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1380.html
変わり往く者達、帰り往く少女達 盛大にして此処最近で一番の大勝負を追えた翌日。私・槇野晶と神姫達は 帰り支度を進めていた。旅行の宿としては、従姉たる碓氷灯の家に泊めて 頂いたのでな?チェックアウト等の手間が不要なのは楽だ。何より……。 「ではこれにて失礼する、伯母貴に伯父貴。その……料理、旨かったぞ」 「あらそぉ?晶ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいわぁ、伯母さん♪」 「灯!ちゃんと晶ちゃんを送ってやるんだぞ。最近お前も変わったしな」 「だ、大丈夫ですぞパパッ!……コストはかかったけど、その色々とっ」 家庭の味。というより家庭そのものか、私達の住む秋葉原にはイマイチ 不足していた要素である。こういう雰囲気を“妹”達に味わわせるのも 良かれと思い、日程調整の時に言われた伯母貴の申し出を呑んだのだ。 「本当においしかったです、あの辛味噌とかも御飯にピッタリでっ!」 「……山葵漬けも、東京のそれとは全然違ってたもん。御馳走様だよ」 「素朴だけど、どれもこう……心を擽られる感覚がして素敵ですの♪」 その読みは当たった。私は無論ロッテ達も、様々な心理的影響や経験を たっぷり……ついでに土産物も……得て、懐かしの東京へと帰るのだ。 しかし気になるのは、皆が唯の感動ではない『不思議な』感覚を一様に 覚えているという事だ……まさか、郷愁とでもいうのだろうか?謎だ。 「あ、そうだ晶ちゃんとロッテちゃん達!……観光はどうですかな」 「観光か。そう言えば、名所等は回っていなかったな。どうするか」 「……どうするもこうするも、時間が有れば行くしかないんだよ?」 「ええ、まだまだ満喫したいですし……行けるなら行きたいですッ」 「そうと決まれば~♪……何処に連れてくつもりですの、灯さん?」 サングラスと首輪等は相変わらずだが、少々服装のセンスに於いて改善が 見られる灯は、微笑んで私達を先導するばかり。代わりに解答したのは、 彼女が肩に乗せている神姫達……ミラとイリンにティニアの三人だった。 「決まってるじゃない!松本城よ、松本城ッ!ほら一昨日の蕎麦屋の側」 「む、そう言えば正門まで行きながら蕎麦のインパクトで忘れていたな」 「松本に来て城を見ないなんて、有り得ない……までは言わないけどさ」 「でも、やっぱりわたしと姉様の故郷だもの。城内は見てほしいのよ!」 「故郷……ですかぁ。そう胸を張って言えるのは少し羨ましいですの♪」 ロッテが寂しげに言うのは尤もだった。神姫達は工場産まれであり、大抵 買われた人間の生活環境がそのまま自分の世界となっていく。その意味で アキバの雑踏と私の側だけが、ロッテ達の本質的に持つ“環境”なのだ。 そして自分達と異なった環境で暮らし、尚克“故郷”と誇れるイリン達。 この対比を以て、“妹”達が己の持つ“誇り”を更に高められれば……。 「晶ちゃん、着きましたぞ?入場券をえ~と、子供……ギャァー!?」 「大人二枚だろうが貴様!冗談は程々にせんと、濠に投げ込むぞッ!」 「ギブギブギブッ!げほげほっ……このナリなら、誤魔化せますぞ?」 「そういう問題ではない!って貴様、そんな度胸何時身につけたのだ」 「……晶ちゃんのカリスマ、ですかな?アルマちゃん同様なのですぞ」 ……私の右肩を見れば、アルマが照れくさそうにしている。この娘め、 寝物語か何かで灯達に色々吹き込んだみたいだな。まぁ、良い変革なら 咎める必要もないし良いのだが……何を聞いたかは気になるな、有無。 ともあれ、私達は松本城へと入り庭園を潜って、本丸・天守閣に赴く。 「こ、この階段はちょっぴりキツいですの……クララちゃん、大丈夫?」 「っく、幾ら何でも急な気がするんだよ。あ、アルマお姉ちゃんッ!?」 「きゃああっ!?……っと。ま、マイスターすみません……無理でした」 「人間の私達でも難渋するのだ、補助デバイス無しで神姫が昇るのはな」 そして比較的広い入口から天守閣直下の階段を目指して歩いたのだが…… 城内の階段は、予想を遙かに上回って急勾配であった。体感的には、殆ど ハシゴをよじ登っている状態に近い位なのだ。13cmの神姫にとっては 絶壁を踏破するに等しく、灯の神姫達は最初から灯に乗り昇っていった。 噂では聞いていたが、日本城郭の建築様式という物に改めて感服したぞ。 「ふぅ……やっと最上階だ、もう降りてもいいが踏みつぶされるなよ?」 「は、はいっ。あ……見て下さいこの床!琥珀色に輝いていますよっ!」 「ええと、それはこの間小学生達が床を磨いた為ですぞ。胡桃と米糠で」 「胡桃と米糠……植物性油脂の底力、なのかな?とっても綺麗なんだよ」 「なんだかスケートができそうですの~♪それ~っ!よっ、ほっ……♪」 神姫達の目線でまず飛び込んだのは、何百年もの間人々に受け継がれ続け その輝きを未だに失わない、古よりの贈物であった。その床でスケートを 始める六体の神姫……閑散期でない為に咎められる所だが、丁度今だけは 私達以外に観光客もおらず、僅かな時間だがその行為を黙認出来たのだ。 「よし、床を堪能したら次は外だ。ほら、肩に乗って窓から見るといい」 「はいですのマイスター♪んしょ……わぁ、西の空見て下さいですの!」 そして皆を抱え上げ、窓の側に誘導する。そこから見えたのは、青き姿を 知らしめる……山々の朧気な姿だった。建物等もあって、あまり派手には 見えないがそれでも私達には、雄大な自然に見えたのだ。素晴らしいッ! 「……あれは、北アルプスなのかな?山岳がいっぱいで、素敵なんだよ」 「ふふ、どうよ皆!また来たくなるでしょ、東京ばかりじゃないのよ?」 「うわぁ……ええ、また来てみたいですミラさん……そしてマイスター」 「分かった分かった、今度休みが取れたらその時にでも来るか?冬とか」 「はいですの~♪という事で、また来ますの皆ッ!楽しみですの~っ♪」 ──────心豊かになれる緑の下。また、皆で来ようね。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1472.html
輪舞曲を踊る姫達と、暖かき宴を 私・槇野晶は暫く、三人の神姫をベンチに座って撫でていた。つい先程、 重量級ランクでの初戦という激闘を勝ち抜いた、我が三人の“妹”達だ。 思った以上に神姫素体やAIへの負荷は激しかったらしく、三人とも今は 持参した簡易クレイドルに身を預け、急速充電をしている状態なのだな。 「……よし、異状無し。充電もそろそろ終わる頃だが……辛かったか?」 「むにゃ……そんな事はないですの、マイスター。おはようですの~♪」 「む、起きたかロッテ……よく頑張ったぞお前達は。見事な戦いだった」 「ぅ、っぅうん……マイスター、そんな所を撫でたらボク、ボク……ッ」 妙な“夢”を見て身悶えるクララを、私は落ちつかせる意図で撫でる。 ちっとも落ちつく気配がない物の、ある意味“疲れた”彼女を癒すには スキンシップと食事に休息が必要だと、思っていたのでな。神姫達は、 決して唯の玩具・機械ではない。精神衛生等も、考慮してやらねばな? 「ふぁあぁ……おはようございますマイスター、何時間経ちました?」 「おはようアルマ。何、まだ二時間も経たぬぞ……外は真っ暗だがな」 「こう暗いと、今から食べ物屋を探して歩くのはちょっと危険ですの」 そう、まだ私達は神姫センターから出ていない。片付けや充電・戦績の 管理に帰り支度……私が色々している内に、日が落ちてしまったのだ。 季節は既に、粉雪が舞い散る冬である。温暖化が大分進んだ東京でも、 極稀に雪は見られる……クリスマス位は降ると、気分が出るのだがな。 「ん……それならこの近くにある牛丼屋はどうかな、マイスター?」 「む、もう充電はいいのかクララ?そう言えばあったな、古い店が」 「インドカレー屋さんでもいいんですけど、ロッテちゃんは……ね」 「アレは一番甘いのでも、ショートしそうですの。堪忍ですの~っ」 くきくき、と躯を起こして捻るクララを抱き上げる。そして私は手早く、 三人に“フィオラ”用のコートを着せてやるのだ。程良く、放熱によって 暖まったロッテ達の躯は、実に心地よい……こら、着替えを見るなッ!? し、神姫達だけではないぞ。この後私もコートを着たりするのだ、全く! 「……ん?マイスター、あの~。何をキョロキョロしているんですか?」 「はう゛?!い、いやな。お前達の着替えを見てる奴がいないかとな!」 「それなら丁度……今、目の前に居るんだよ。ね、ロッテお姉ちゃん?」 「はいですの、マイスターがわたし達をずっと見てくれていますの~♪」 「あ゛ぅっ!?そ、そんな事言わんでくれぬか皆。意識してしまうぞ!」 多分今、私の顔は夕焼けよりも……ついでに茹蛸よりも紅いのだろうな。 何とかして空気を換えようと、私は一つ引っかかっていた疑問を告げる。 それはクララが戦闘の序盤に繰り出した、竜の吐息を纏った蹴りの事だ。 「そ、そう言えばクララや。お前だけ途中、技の名を叫ばなかったな」 「“タイドウェイブ・ストレイト”かな?あの時は余裕なかったもん」 「確かに、リンドルムが慣れるまで時間が掛かっていたしな……有無」 「それにアレ、本当は電磁パルスを“魔術”で変換したかったんだよ」 そう言って考え込むクララの顔は真面目であり、アルマとロッテも己の 戦いで何が足りなかったのか、考え始めてしまった。それは結構だが、 しかし何時までも、神姫センターでこうしている訳には行かなかった。 「ふむ……取りあえずは食事をして、帰って家でゆっくり分析せぬか?」 「それがいいかもしれませんね……あたし達は順次寝ちゃってましたし」 「改めて分析データや記録を見ながらの方が、色々進みそうですの~♪」 「なら着替えも終わったし……牛丼屋で手早く済ませたいんだよ、うん」 クララの意見に皆が同意し、私の掌から胸ポケットへと神姫達が入った。 今日の服は、ポケットの容積は十分だが……何故今だけ、三人揃ってか? それはこの後、神姫センターを出てから移動する間に、明らかとなった。 「……というわけで、今年はこうしてこうですの~……大丈夫ですの?」 「あ、はいっ。それならどうにかなりそうですねぇ、クララちゃんは?」 「ボクも問題なし……後はマイスターにバレない様に、首尾良くやるよ」 何か、彼女らが秘密の打ち合わせをしているのだ。私は好意的に、会話を 無視してやる。私を驚かせてくれる為に、考えている事柄らしいからな。 私が意識的に聞き及んでしまっては、彼女らの厚意が無になると言う物! そこで私は敢えて彼女らに話しかけず牛丼屋に入り、オーダーを済ませて 丁度開発された期間限定メニューが出てくるまで、黙っている事とした。 「……ならその筋でいきたいですね。今週から準備に入りましょうか?」 「それがいいんだよ、アルマお姉ちゃん。HVIFを使うタイミングで」 「こっそりリサーチや買い物しながら、準備を進めていきますの……♪」 「あーこほん、お前達。オーダーした一品が来る、食べる準備を頼むぞ」 『ふぇっ!?』 程なく品が届いたので、私は“妹”達の気を引く。『なぜ一品なのか?』 という声も聞かれたが……それは目の前に出現した、巨大極まる肉の山を 前にして、あっという間に雲散霧消する。そう、数十年前に流行っていた “メガ牛丼”。何故かこの店では、今頃になって“テラ牛丼”という名で 売り出したのだ。チェーン店ではないので、別に今更とは言わぬが……。 「むぅ。以前噂に聞いていたが、いざ目にすると迫力が凄まじいな……」 「というか、飽食が裸足で逃げ出しそうですよこれ……採算が心配です」 「……アキバの大きなお兄さん達なら食べ切れそうだけど、ボクらはね」 しかしこれはこれで、“妹”達の新たな門出に相応しい趣向と言える。 巨大な“敵”を打ち倒しつつも一つの丼を四人で突き、親睦を深める。 絆を重要視する私達には、似合いの夕餉だな。さぁ、気合を入れるか! 「まぁまぁ。四人がかりで“重量級”への挑戦と、洒落込みますの~♪」 「粋な事を言うな、ロッテよ。では……皆でこの山を突き崩すぞッ!!」 『はいっ!!!』 ──────シンプルでダイナミック。ある意味、理想かもね? 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/906.html
職人気質は遺伝か、努力の賜物か 初めての3on3は見事“私の妹達”が勝ち星を収めた。実にめでたいな。 そう言う訳で、近所の天丼屋にて本日は祝勝会だ……『豪華だな』だと? いや、仕方有るまい。私達四人だけならもっと適当な場所があるのだが、 今日は遠方の親戚も同席するのだ。しかもあろう事か、今日の対戦相手。 「というわけでだ……まずは公約通り、これをくれてやるぞ灯ッ!」 「うあうあ、痛い痛いですがッ。ギャアー、そここめかみーっ!?」 「灯さん……そのボイスチェンジャーはオフにしてほしいですの~」 そう。渋いバリトンで喚くこの幼女・碓氷灯が、一応私の従姉である。 人が怖いと言って声を変えたり大きなサングラスを常に装備する変人、 山奥に年中引っ込んで、こんな所になど来るはずもないと思っていた。 だが現に此奴めはアキバの神姫バトルランキングに、名を記している。 故に不可解は転じて不愉快となり、どうしてでも真実を知りたくなる! 「そもそもだ、何故貴様がここにいる。転居の話は聞いていないぞ」 「うん、してないですな。春休みでちょっと遊びに来ただけだから」 「……ミラさん、この人って何時もこうなのかな?どうみても……」 「言っちゃダメよ。当人はいつも気にしてるんだから、人間の目を」 「え、ええっと~……却ってこれは逆効果の様な気がしますけど?」 ロッテの溜息・クララの疑問・アルマの当惑、いずれも一々もっとも。 だが、病的な程に人を畏れる彼女は、人混みの中では必ずこうなのだ。 私は勿論彼女の親族も止める様に言うのだが、どうしようもない様だ。 この様な“病的な拘り”は、恥ずかしながら私の一族共通の物らしい。 「で、でもさ。晶ちゃんだって色々と変な所に拘ったりするですぞ~?」 「それを突かれると痛いな。お互い、治らん性癖であると言う事か……」 元を正せば、私の“職人気質”とてこういう所が発端なのかもしれぬ。 “灯の神姫”であるミラ・イリン・ティニアの三人は、その辺に理解が ある様で、ツッコミを入れる“我が妹達”を先程から制してばかりだ。 「で、“春休み”だと?まあ深くは追求せぬが、その様子だと……?」 「そうよ!先月の中程に登録して、どこまでいけるか挑戦したのよ!」 「私達が頑張る事で、少しでも“姉様”が外に出やすくなれるならね」 「でも、“姉様”の春休みも明日で終わりだから。今日がラストなの」 ミラ達、“灯の妹達”は口々に私達を挑発する。だが、姉への想いは どうやら本物らしい。全ては灯を案じての提案で、一応は奏功したが “有終の美”を阻止されたのは、そう言う意味で度し難いのだろう。 とは言うが、そんな理由があっても戦いの手を抜く事は……ないな。 「それは悪い事をしましたけど、わたし達に負ける気はないですのッ!」 「ロッテちゃん……そう、ですね。彼処で温情を見せるのは、失礼です」 「……うん。ティニアさん達だけじゃなくて、灯さんにも不義理だもん」 「え゛、わ……私にも?……あーあー、そう言われるとそうかも……?」 「そう言う事だ。灯を慕う神姫を侮辱する事は、貴様にも悪いからな!」 「む、むううう……でもラストで勝てないのはやっぱり悔しい~ッ!?」 灯とて、臆病ではあってもバカではない。彼女自身は理解出来た様だが、 彼女の“妹達”三人は、やっぱり最終戦に負けた事が大変悔しいらしい。 “私の妹達”は未だここまで敗北を引きずった事は無いので、新鮮だな。 「なら、また灯さんの都合がいい時にこちらへ来てくださいですの♪」 「え?何それ、再戦しよう……って事で良いの?ロッテ……ちゃん?」 「はいですの、イリンさん!わたし達も、また戦ってみたいですから」 「後悔しても知らないわよ貴女達。まだ姉様の神姫はいるんだから!」 「そうよ。セティ姉様に茶織(チャージィ)姉様に……後、穂積姉様ッ」 ……聴いた事もない名前がぞろぞろと出てくるがそれは後にして、だ。 再戦の約束はあっという間に神姫間で結ばれ、12の瞳が私達に向く。 当人達で決まってしまっては、私と灯が却下する事は……到底出来ぬ。 「そう言う訳でだ、また東京に出てこい。秘蔵の神姫を連れてなッ」 「い、いいの……ごめんなさいですなんでもないですコワイ顔!?」 不要に怯える灯に再び梅干しをかましつつ、そのサングラスを外して 首輪型ボイスチェンジャーのスイッチを落とす。うむ、つぶらな瞳に 鈴の鳴る様な声。勿体ないな……まあ、幼女では男も限られようが。 ──『お前もな』とか言った奴、この場で素揚げにしてやろうか!? と、ともかく!私は疑問だった事を口にする……すぐ後悔したがな。 「しかし、何故神姫オーナーになったのだ?しかも“姉様”とは……」 「あうあう……あー、それは晶ちゃんと“歩さん”に触発されてだね」 「──────もういい。そうか、それはきっと喜ぶだろうな。むッ」 私はすぐに灯の話を止める。『誰だ?』……まだ語るつもりはないッ! ……すまん、少々苦い過去なのでな。時がくれば、貴様らにも話そう。 ともあれ、そう言う人が居たのだ。それだけ覚えてくれれば構わない。 っと、頼んでいた天丼が三人前届いたか。そう、“彼女ら”の分もだ。 「って、貴方達神姫なのになんで天丼が食べられるのよーッ!?」 「……少々訳ありでな。彼女らは食事が出来るのだ、ティニアよ」 「ずーるーいー!?姉様、私達にも何か食べさせてくださいッ!」 「え、えう。ちょっくら無理ですな、どういう原理かさっぱりッ」 「ううぅ……姉様を責めるのは筋違いだし、あーもー悔しいッ!」 喚くミラ達“灯の妹達”を余所に、ロッテ達“私の妹達”は、一杯の 天丼を三人で分け、器用に食べ始めている。実に旨そうではないか! そうと決まれば、早速食べ始める事としよう。ミラ達には悪いがな。 「ほら、灯も食べるが良い。ここはアキバでもなかなか有名なのだぞ?」 「う、うん……いただきますなのだ。海老に目が無くて……あむっ、む」 「おいしいですの~……♪って、クララちゃんは食事が進まないですの」 「うん、脂っこい物はね……ボクは少しで良いよ、アルマお姉ちゃん?」 「あ~、ひどいですクララちゃん~!?で、でも……美味しいですッ!」 ──────それでも久しぶりの邂逅、本当に楽しかったよ? 次に進む/メインメニューへ戻る